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 2016年6月 アテネウム美術館(ヘルシンキ)を訪れました。アテネウムとは「アテネ風」という意味で、フィンランド国立美術館の扱いのようです。フィランド人画家作品の展示がメインとなっていました。古典作品は展示されていませんでした。19世紀以降の作品ばかりでした。
アテネウム美術館正面前景(Wikipediaから)

アテネウム美術館前景
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ヘルシンキ中央駅からは、道を渡った向かい側にありました。
アテネウム美術館玄関で記念写真
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この美術館の最大の目玉は、次の作品のようです。
              傷ついた天使(ヒューゴ・シンベリ、1903年作)

快復期(ヘレン・シャフルベック、1888年作)

闘う雷鳥(フェルディナンド・フォン・ライト、1886年作)

オペラ歌手イダ・バジラー(マリア・ヴィーク、1887年作)

野焼き(エーロ・ヤルネフェルト、1893年作)

レミンカイネンの母(アクセリ・がッレン=カッレラ、1897年作)

フィンランド以外の画家作品は少なかった。
エスタックの道路橋、エスタック近くの高架橋
(ポール・セザンヌ、1879~82年作)

オーヴェル=シュル=オワーズの道
(フィンセント・ファン・ゴッホ、1890年作)

画家レオポルド・シュルヴァ―ジュの肖像
(アメディオ・モディリアーニ、1918年作)

豚と馬の居る風景(ポール・ゴーギャン作)
額装絵画 - ポール・ゴーギャン - ドミニカ共和国の風景または豚と馬のいる風景、50 x 60 cm
ジニー(アリス・アニール、1984年作)
アリス・ニール
吹き抜けの風景
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美術学校の卒業生作品らしき展示
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20世紀以降フィンランド人画家の作品が多く展示されていました。

 2016年夏にヘルシンキに行った際、アモス・アンダーソン美術館(ヘルシンキ)には日程の都合で訪問しませんでした。地元画家作品の所蔵・展示がメインで、有名画家の作品展示が少なそうだったからです。公式HPを調べましたので、紹介します。
アモス・アンダーソン美術館前景
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中庭からの全景
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ボナールの作品
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シニャックの作品
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スペイン画家の作品(作者不明)
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ここからは地元画家なのか、聞いたことのない作者名が続きます。
Giulio_Romanonの作品
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Angelo_Solimenaの作品
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Carlo_Innocenzo_Carloniの作品
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lyytikäinenの作品
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lyytikäinenの作品
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Sallinen_Jytkytの作品
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sallinen_kalliostaの作品
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Rysselberghe_Merimaisemaの作品
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ビッグ・ネームの作品は少ないようです。

 2016年6月 アテネウム美術館(ヘルシンキ)を訪れました。アテネウムとは「アテネ風」という意味で、フィンランド国立美術館の扱いのようです。フィランド人画家作品の展示がメインとなっていました。古典作品は展示されていなかった。今回は、ヒューゴ・シンベリ作「傷ついた天使」を紹介します。この美術館の最大の目玉では、画家も作品もフィンランド国民の評価ナンバーワンのようです。
 ヒューゴ・シンベリ(1873~1917)は可哀そうな奴・悪魔や死をテーマにした、象徴主義のフィンランド人画家です。どうもフィンランドの時代背景が影響していたようです。1809年にそれまでのスェーデン支配から、ロシアにフィンランドは割譲されました。フィンランドはそれまでに議会制度が確立し、憲法に近いものも出来ていました。そのような事情で、半ば独立国に近い政治が行われました。しかし、1899年ロシア皇帝ニコライ二世により、「二月宣言」が発せられました。「フィンランド議会の立法は、ロシア基本法の制限下に置かれる。」という内容で、属国であることの再確認・宣言です。これで北米への移民が始まり、最終的には32万人が移民・出国したようです。1902年には年間2万3千人が出国・移住したようです。そのような状況で、この作品は描かれました。
 天使はどうもフィンランドの象徴のようです。瀕死の状態で、独立性を否定されたフィンランドです。二本の棒の担架で天使を運ぶ少年たちの先頭は喪服のような服装で、属国の境遇に黙々と従う覚悟の象徴です。後ろの少年は鑑賞者の方を見て、どうしようか迷っている感じです。この少年が移住しようか迷っている国民で、作者自身の自画像も兼ねています。救いは、天使が(癒し・再生の象徴の)マツユキソウを持っていることです。「いつかフィンランドは独立国として復活するつもりだ。」との象徴です。後ろの少年(作者)は、天使がマツユキソウを持っていることに鑑賞者が気づいてくれるか窺っているのです。フィンランド人達がこの絵を愛する気持ちが十分理解できます。フィンランド独立を密かに願った絵なんですから。外国人はチョット調べないと事情が分からないのでしょう。私もそうでした。
傷ついた天使(ヒューゴ・シンベリ、1903年作)


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