世界美術館巡り旅

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カテゴリ:世界の美術館 > ポルトガルの美術館

 2017年6月のポルトガル旅行の際に、リスボン国立古典美術館に行きました。地下鉄駅カイス・ド・ソドレで、トラムに乗り換えて向かいました。次の停留所の音声案内も無い中で最寄り停車場を過ぎたと感じて、慌てて次の停留所で降りました。通りかかった人に道を尋ねて、徒歩で10分以上戻りました。少し不安になってきたところで、美術館が見えてきました。
リスボン国立古典美術館の前景(Wikipediaから)
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開館時間前だったので、記念写真を撮りました。
リスボン国立古典美術館入り口前で
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  この美術館で最も有名なのは、ヌーノ・ゴンサルヴェス作の「聖ヴィセンテの衝立」です。1470年頃の作と伝わります。ルネッサンス初期、初期フランドル派と同時代の作品です。画風から行くと、初期フランドル派に近いようです。初期フランドル派の画家から手ほどきを受けたと思われます。時代を考えると、傑作と言えると思います。赤色の発色が良いですネ。
聖ヴィセンテの衝立(ヌーノ・ゴンサルヴェス、1470年頃作)

聖ヴィセンテの衝立の前で
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日本人観光客の間で有名なのが南蛮屏風です。
南蛮屏風(狩野内膳作)
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南蛮屏風の前で写真を撮っていたら女性学芸員が、「二人を撮ってあげる。」と近づいて来ました。好意に甘えて、記念写真を撮ってもらいました。
南蛮屏風の前の記念撮影
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私が最も見たかった絵は、次の絵です。
聖アントニウスの誘惑(ヒエロニムス・ボス、1501年作)
 ボス(初期フランドル派)の作品の(裏の)テーマは分かり辛い。単純な「カトリック教称賛」ではない可能性があります。聖アントニウスは、堕落した教会勢力の対極的(清貧)な象徴です。この絵のテーマは「快楽の園(教会の堕落と腐敗を風刺)」よりも推定が難しい。別の機会に考察したいと思います。
聖アントニウスの誘惑の前で
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これらの作品以外にも、名品がありました。
聖母マリアを訪問するキリスト(ジョルジェ・アフォンソ、1515年作)

聖ジェローム(アルブレヒト・デューラー、1521年作)
アルブレヒト・デューラー『書斎の聖ヒエロニムス』 (1521年)
聖アウグスティヌス(ピエロ・デラ・フランチェスカ、1454年作)
クレモナの聖エウセビウスの奇跡(ラファエロ・サンティ、1502~03年作)
聖母子(ハンス・メムリンク、1490年頃作)

サロメ(ルーカス・クラナッハ、1510~15年作)

聖母子と聖人たち(ハンス・ホルバイン、1519年作)
地獄(作者不詳、1510~20年作)
悲しみの聖母(クエンティン・マサイス、1509~11年作)

神殿奉献(クエンティン・マサイス、1509~11年作)

博士たちの間のキリスト(クエンティン・マサイス、1509~11年作)

十字架を担うキリスト(クエンティン・マサイス、1509~11年作)

磔刑(クエンティン・マサイス、1509~11年作)

墓を訪れる福音書記聖ヨハネと聖女たち
(クエンティン・マサイス、1509~11年作)

聖母子(フライ・カルロス、16世紀前半作)

天使と聖家族(ヤン・ホッサールト、16世紀前半作)

聖バルトロマイの殉教(ホセ・デ・リベーラ、1616~17年作)

ペリシテ人(二コラ・プッサン作)

十二使徒・聖ペテロ(フランシスコ・デ・スルバラン、1633年作)

十二使徒・聖ヨハネ(フランシスコ・デ・スルバラン、1633年作)

エジプトへの逃避(ジャン・バティスタ・ティエポロ、18世紀中頃作)

ルーカス・ヴォスターマンの肖像(アンソニー・ヴァン・ダイク、1630~32年作)
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ダイクはルーベンスの弟子で、工房の後継者のような画家です。ルーベンスを彷彿とさせる絵も多いです。
会話(ピーテル・ド・ホーホ、1663~65年作)
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ホーホは有名なフェルメールと同時期の画家で、交流もあったようです。フェルメールを連想させる画題も描いています。
聖母子(ムリーリョ作)の前で
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慈悲の作品(ピーテル・ブリューゲル作)品
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お土産売り場に、ヒエルニムス・ボスの絵のような人形を売っていました。興味をひかれて、撮影しました。
ヒエロニムス・ボス風の人形
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(老眼の為)値段までは良く見えませんでした。
 聖ヴィセンテの衝立(ヌーノ・ゴンサルヴェス作)が1470年頃の作品だとは知りませんでした。描かれた年代を知ると、傑作だという感慨が深くなりました。ヌーノ・ゴンサルヴェスという画家も、一度調べてみようと思います。

 2017年6月にリスボン(ポルトガル)を訪れた際、グルベンキアン美術館に行きました。この美術館の所蔵品の間では、ルーベンス作の「エレーヌ・フールマンの肖像」が一番有名です。
 最寄りの地下鉄ブルー・ラインのプラサ・デ・エスパーニャ駅で降りて、地上に出ました。観光案内書にも出ている有名な美術館なので、方向を示す表示(看板)があるだろうと期待していました。かなり広い自動車道路の変形交差点近くの広場に出ましたが、グルベンキアン美術館や行き方の方向を示す表示は一切ありませんでした。周りを見回した結果、道を渡って様子を見ようという事になりました。広い道を渡る際に近くの女性に「グルベンキアン」と妻が問いかけると、あっちの方と指さしてくれました。その指示に従い更にもう一本広い道を渡ると、大きな前庭(中庭)と「グルベンキアンと鷲の像」が見えました。何とかたどり着きました。
 敷地に入ると右側に広い建物がありました。そこの受付に行くと、美術館はもっと奥の方の建物だとのことでした。訪問する際には地図を調べて、地下鉄駅との位置関係を把握していくことをお薦めします。
グルベンキアン美術館前庭のグルベンキアン像(公式HPから)
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写真後ろの建物は美術館ではなく、事務棟でした。
グルベンキアンの像の前での記念写真
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神殿奉献(シュテファン・ロッホナー、1445年頃作)

若い女性の肖像(ドメニコ・ギルランダイオ、1490年頃作)
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 ドミニコ・ギルランダイオはフィレンツ派の画家です。誰に師事したか分かっていませんが、ミケランジェロの師匠であったことは記録に残っています。
ギルランダイオの作品の前で
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奉献者と聖家族(ヴィットーレ・カルパッチョ、1505年作)
 カルパッチョはヴェネツィア派の画家です。
カルパッチョの作品の前で
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受胎告知(ディルク・ボウツ、1465~70年作)
聖カタリナ(ロヒール・ファン・デル・ウェイデン、1435~40年作)
バウツとウェイデンは初期フランドル派の初期の画家です。
聖母子(ヤン・ホッサールト、1508~10年作)

ケンタウロスの情事(ピーテル・パウル・ルーベンス作)

エレーヌ・フールマンの肖像(ピーテル・パウル・ルーベンス、1630~32年作)

サーラ・アンドリース・へシックス(フランス・ハルス、1626年作)

男の肖像(アンソニー・ファン・ダイク作)
ダイクはルーベンス工房の後継者です。
パラス・アテナ(レンブラント・ファン・レイン、1657年頃作)

レンブラント作品の前で
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風景画(ヤコブ・ファン・ライスダール作)
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輸送船ミノタウルス号の難破(ジョセフ・ウィリアム・ターナー、1810年頃作)

マンテスの橋(ジャン=バティスト・カミーユ・コロー、1868~70年作)
花(アンリ・ファンタン・ラトゥール作)
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読書(アンリ・ファンタン・ラトゥール、1820年作)
シャボン玉を吹く少年(エドゥアール・マネ、1867年作)
サクランボを持つ少年(エドゥアール・マネ、1858年頃作)
メロン(クロード・モネ、1876年作)
ソファーに座るモネ夫人(ピエール・オーギュスト・ルノワール、1874年頃作)
虹のある農村風景(ジャン=フランソワ・ミレー、1873年作)
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ヴィーナスの鏡(エドワード・バーン・ジョーンズ、1875年作)

アンリ・ミッシェル・レヴィ(エドガー・ドガ、1878年作)
セーヌ川の河口(ジョゼフ=マロード・ウィリアム・ターナー作)
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個人が収集した美術館としては、非常に名品が多いと思います。

 2017年6月のポルトガル旅行で、ベラルド現代近代美術館(リスボン)に行きました。現代芸術がメインの美術館のようですが、20世紀以降の絵画(油絵)も所蔵・展示されているようです。ピカソやダリの作品も所蔵しているようですが、写真は公式HPに添付されていませんでした。訪問の前日(ファド鑑賞)・前々日(ポルト日帰り観光)ともに、ホテルに帰ったのが深夜0時頃でした。当日も朝からリスボン王立古典美術館鑑賞、ジェロニモス修道院・発見のモニュメント・ベレンの塔観光と忙しく移動しました。ベラルド美術館のホールにはいると、まるっきり現代美術館の様相でした。妻が「現代美術がメインのようなのでここはスキップして、28番系列のトラムに乗ったらホテルに帰りましょう。疲れた。」と言ったので、鑑賞せずに移動しました。ホテルに帰ったあと資料を見て、「ベラルド美術館にはピカソやダリの絵があるようだ。無理して見れば良かった。」と言い出したのには参りました。玄関で記念写真だけはとりました。公式HPに掲載された写真を紹介します。残念ながら、ピカソやダリの写真は載っていませんでした。インターネットで調べて写真が見つかったら、追加で紹介します。
ベラルド現代近代美術館全景(公式HPから)
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ベラルド美術館玄関での記念写真
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マリアージュの祭典(マルク・シャガール、1978年作)
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シャガールの作品
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キリコの作品
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ダイバー(フェルナン・レジェ、1942年作)
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青いドレスを着た女性の肖像(バルテュス、1935年作)
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フランシス・ベーコンの作品
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ポール・デルヴォーの作品
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銀の峡谷(ルネ・マグリット、1926年作)
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花殻(マックス・エレンスト作)
関連する画像の詳細をご覧ください。Inside the art museum Museu Colecao Berado in Lisbon - Coquilles fleurs ...
パラダイス・モーテル(リキテンシュタイン作)
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ピカソ(鉛筆素描?)は余りに小さく、とダリ(白い電話機)は画素が多い上に面白くなかったので割愛しました。制作から100年以内の作品が多く、著作権が残っていそうです。開示が悪かった。

 2017年6月のポルトガル旅行の際に、リスボン国立古典美術館に行きました。今回は、ジョルジェ・アフォンソ作「聖母マリアのもとを訪れるキリスト」を紹介します。
 ジョルジェ・アフォンソ(1470年頃~1540年頃)はルネッサンス期のポルトガル人画家です。1508年ポルトガル王マヌエル1世の宮廷画家になりました。引き続き1529年からショアン3世の宮廷画家になりました。リスボンを拠点に祭壇画を多く描きました。
 マヌエル1世の姉レオノール・デ・ヴィゼウに命じられて、この祭壇画を描きました。左側の裸の老人が気になりますが、「裸のキリストに裸で従う」を求めた、アッシジのフランチェスコを描いたと思われます。

聖母マリアのもとを訪れるキリスト(ジョルジェ・アフォンソ、1515年頃作)

 2017年6月にリスボン(ポルトガル)を訪れた際、グルベンキアン美術館に行きました。今回は、ラファエロ前派画家のサー・エドワード・バーン・ジョーンズ作「ヴィーナスの鏡」を紹介します。
 エドワード・バーン・ジョーンズ(1833~1898年)はバーミンガムで、メッキ職人の息子に生まれました。オックスフォード大学で神学などを学び、やがてロセッティの下で学びました。ステンドグラス美術の伝統の復活を目指しました。ウィリアム・モリスと協力して、多くのステンドグラス作品も残しました。
 「ヴィーナスの鏡」はイタリア旅行から帰って、描かれました。イタリアで見たルネッサンス・バロック傑作の影響かと思われます。水面に映った像に魅入られた絵と言えば、カラヴァッジョ作「ナルキッソス」が思いつきます。それ以外には思いつかないので、それからイメージしたのかと思われます。
ヴィーナスの鏡(エドワード・バーン・ジョーンズ、1877年作)
The Mirror Of Venus
キリストの生誕のステンドグラス
(エドワード・バーン・ジョーンズとウィリアム・モリス共作、トリニティ教会蔵)

ナルキッソス
(カラヴァッジョ、1597~99年作、パラッツォ・バルベリーニ蔵
Picture taken from Caravaggio [Public domain], via Wikimedia Commons

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