2017年6月にグルーニング美術館(ブルージュ)を訪問しました。今回は、ピーテル・プルビュス作「最後の審判」を紹介します。
 ピーテル・プルビュス(1523年頃~1584年)が、チーズで有名なゴーダで生まれました。1540年より前にブルッヘに出て、有力画家のランスロット・ブロンデルに弟子入りしました。1543年にブルッヘの画家組合の会員となりました。師匠(親方)が画力と6年以上の修行を保証して推薦するはずなので、1537以前に弟子入りしたと思われます。ピーテル・プルビュスが14歳以前に弟子入りしたと思われます。恐らくダイレクトに弟子入りしたと推定します。師匠の娘と結婚して、工房を継ぎました。師匠に見込まれたのでしょう。画風も師匠と類似しています。工房を継いだ後は、地図製作、建築、室内装飾なども手がけました。肖像画などは時代(16世紀中頃)を考えると、素晴らしい出来栄えです。宗教画は通り一辺倒で、普通の絵です。
 「最後の審判」では上半分にキリスト・聖母マリアと聖人たち、下半分の右側が地獄行きの人々、左側が天使によって天国に連れていかれる人々です。化け物は控えめに描かれています。
 左手前の男二人の後ろから鑑賞者を見ている白い衣服の老婆のような人物が気になります。「貴方は天国・地獄のどちら行きですか?」と問いかけているような気がします。手前右の男は天の判断を期待していて、左の男は諦めているような姿です。下段中央やや右の裸婦は、聖母に向かって懇願しています。最後の審判が来る前に悔い改めよと言っているのでしょうか?
最後の審判(ピーテル・プルビュス、1551年作)
受胎告知(ピーテル・プルビュス、1552年作、ブルッヘ聖母教会蔵)

フランソワ・ファン・デル・シュトレーテンの肖像
(ピーテル・プルビュス、16世紀中頃作)

聖ルカが聖母子を描く
(ランスロット・ブロンデル、1545年作、グルーニング美術館蔵)