世界美術館巡り旅

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2025年10月

 マンチェスター市立美術館はイングランド北西部のマンチェスターにある美術館です。ロンドン以外のイングランドで最大の美術館だそうです。ラファエロ前派の画家の所蔵作品が充実しています。ここも5年前に訪問予定でしたが、コロナ騒ぎで急遽中止しました。行けなかったことが残念です。
マンチェスター市立美術館全景(Wikipediaから)
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 所蔵・展示品を紹介します。
聖カタリナと聖バルバラ
(マスター・オブ・フランクフルト、1500年頃作)

受胎告知(伝ペルジーノ作)
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東方三賢人の礼拝(伝ペルジーノ作)
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川岸の城と人の居る風景(伝ヤン・ブリューゲル作)
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金の子牛の礼拝(クロード・ローラン、1660年頃作)
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アレキサンドリアの聖カトリーヌ(グイド・レーニ工房作)
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馬上のチャールス1世とサン・アントワーヌの領主の肖像
(伝アンソニー・ヴァン・ダイク作)
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有名なキングス・ギャラリー所蔵品のコピーと思われる。本人のコピーにしては出来が悪く、工房か追従者の作品か?
岸辺で帆船が荷下ろしする川の風景
(サロモン・ヴァン・ルイスダール、1660年頃作)
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薔薇の香りを嗅ぐ女性と犬の室内(伝ピーテル・デ・ホーホ作)
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網を引く漁師の風景(バレント・ピーター・アーフェルカンプ作)
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冬のスケートで有名なヘンドリック・アーフェルカンプの父親か甥の画家の作品のようです。
三人の居る室内(ヤン・スティーン、1650~79年作)
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子犬を抱く貴婦人(ウィレム・ファン・ミーリス、17世紀中頃作)
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有名なフランス・ファン・ミーレスの子供に当たる画家の作品です。
男の肖像(ウィリアム・ホガース、1739年作)

ピェイ・イワールの小川(ギュスターヴ・クールベ作)

座る裸婦(ピエール・オーギュスト・ルノワール、1897年作)
エトルリアの絵付師(ローレンス・アルマ・タデマ、19世紀後半作)
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ブロムリー家の家族
フォード・マドックス・ブラウン、1844年作)
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秋の落ち葉
(ジョン・エヴァレット・ミレイ、1855~56年作)
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世の光
(ウィリアム・ホルマン・ハント、1853~54年作)
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雇われ羊飼い
(ウィリアム・ホルマン・ハント、1851~52年作)
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ランタン職人の求愛、カイロの街並み
ウィリアム・ホルマン・ハント、1854年作)
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シャロットの女
(ウィリアム・ホルマン・ハント、1886~1906年作)
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眠れる森の美女
(エドワード・バーン・ジョーンズ、1871年作)
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ディエップの港(ポール・ゴーギャン、1885年頃作)

ヒュラスとニンフたち
(ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス、1896年作)
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バウアー牧草地
( ダンテ・ガブリエル・ロゼッティ、1850~72年作)
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ダックスベリー夫人と娘
(ジョン・シンガー・サージェント、1919年作)
File:Sargent - Mrs Duxbury and Daughter, 1919, 1945.41.jpg
 ラファエロ前派の所蔵品に名品が多いようです。

 2017年6月アントワープ王立美術館(アントワープ/ベルギー)に行きました。今回は、ロヒール・ファン・デル・ウェイデン作「七つの奇蹟の祭壇画」を紹介します。
 ロヒール・ファン・デル・ウェイデン(1399~1464年)は、ネーデルランドのトゥルネー(現在のベルギー国内)で刃物職人の息子として生まれました。1426に結婚して、二人の子供に恵まれました。1427~32年の間ロベルト・カンピンの下で修業したという説がありますが、違うという説もあります。1432年頃トゥルネーの芸術家ギルド聖ルカ組合にマイスターとして登録されました。独り立ちしたようです。1435年にブリュッセルに移住し、翌年ブリュッセルの公式画家に認定されたようです。代表作の「十字架降架」が1435年に描かれて、それ以前の絵は残っていません。1435年(35歳)で画力・技量は完成の域となっています。修行中の絵は残っていません。
 「七つの奇蹟の祭壇画」は各パネル上部に、二つの盾形紋章が描かれています。司教ジャン・シュヴロと都市トゥルネーの紋章とみられています。ジャン・シュヴロはスイス国境が近いフランス東部ポルニー終身の多才な人物で、宰相ニコラス・ロランとも親交がありました。1460年に教皇により、トゥルネーとトゥールの司教に任命されました。私の眼では本作品は1445年よりももっと後の制作のように見えます。1460年の司教就任を記念して、委嘱された作品だと思います。
 中央パネルには、磔刑と聖体の奇蹟が描かれています。左パネルには、洗礼・堅信・ゆるしの奇蹟が描かれています。委嘱者の司教ジャン・シュヴロも描かれています。右パネルには、叙階・婚姻・病者の塗油の奇蹟が描かれています。ウェイデンとその工房の作とみられています。
 トゥルネーの司教になる前に司教の姿で描くとは考えにくく、1460年以降の作と思います。
七つの奇蹟の祭壇画
(ロヒール・ファン・デル・ウェイデン、1440~45年作)
キリストの嘆き部分/司教ジャン・シェヴロの肖像
(ロヒール・ファン・デル・ウェイデン作、マウリッツハイス美術館蔵)
未定義

 レディ・リーヴァ―美術館はリバプールにある美術館です。1922年に実業家ウィリアム・ヘスケス・リーヴァ卿のコレクションを基に創設されました。ラファエロ前派の作品を多く所蔵・展示しています。ここも5年前に訪問予定でしたが、コロナ騒ぎで急遽中止しました。残念です。
レディ・リーヴァ―美術館前景(Wikipediaから)
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 主要所蔵・展示作品を紹介します。
バッカス神の巫女に扮したレディー・ハミルトン
(エリザベート=ルイーズ・ヴィジェ・ルブラン、1791年頃作)
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過ぎ去りし夢ー浅瀬のイサンブラス卿
(ジョン・エヴァレット・ミレイ、1857年作)
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 「馬が大きすぎる(胴が長すぎる)。」と評論家から酷評されたと伝わる絵です。
黒きブランズウィック騎兵隊員
(ジョン・エヴァレット・ミレイ、1860年作)
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春(ジョン・エヴァレット・ミレイ、1859年作
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シャボン玉(ジョン・エヴァレット・ミレイ、1886年頃作
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テピダリアム(ローレンス・アルマ・タデマ、1881年作)
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休日、ノルウェー
(ジョン・シンガー・サージェント、1901~02年作)
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贖罪の山羊
(ウィリアム・ホルマン・ハント、1854~56年作)
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マグダレンの塔の五月の朝
(ウィリアム・ホルマン・ハント、1890年作)
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プサマテ(フレデリック・レイトン、1879~80年)
プサマテ
農場のクロムウェル(フォード・マドックス・ブラウン、1874年作)
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聖オズワルドの洗礼
(フォード・マドックス・ブラウン、19世紀後半作)
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水浴者たち(フレデリック・ウォーカー、19世紀後半作)
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受胎告知(エドワード・バーン・ジョーンズ、1879年作)
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許しの木(エドワード・バーン・ジョーンズ、1881~82年作)
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マリーンの魅惑
(エドワード・バーン・ジョーンズ、1873~77年作)
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魔法にかけられた庭(ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス作)
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祝福されたダモゼル(ダンテ・ガブリエル・ロセッティ、1875~79年作)
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 ラファエロ前派の画家の代表作が多く所蔵されているようです。

 2017年6月アントワープ王立美術館(アントワープ/ベルギー)に行きました。今回は、シモーネ・マルティーニ作「オルシーニ」を紹介します。
 シモーネ・マルティーニ(1284年頃~1344年)はイタリア ゴシック派の画家で、シエナ派祖のドウッチョ・ディ・ブオニンセーニヤの後継者でした。イタリア中部シエナ出身と思われますが、1315年頃(31歳頃)まで経歴が良く分かりません。1314年にアヴィニョンに、1317年頃にナポリに、アッシジにも行ったようです。1340年頃アヴィニョンへ移り、そこで亡くなったようです。シモーネ・マルティーニと言えばウフィツィ美術館所蔵の「聖女マルガリータと聖アンサヌスのいる受胎告知」がゴシック末期の大傑作だと思います。
 「オルシーニ多翼祭壇画」と呼ばれた原因は、ルーブル美術館所蔵の「十字架を担うキリスト」と一緒に多翼祭壇画を形成されていたと考えられていたからだと思われます。私の眼からみると、間違いです。順に根拠を示します。
 シモーネ・マルティーニ作品を俯瞰して感じる特徴をリストアップします。
① 画風・画材・絵の具の発色はゴシックのそれを使っている。金箔・金塗を多用したゴシック様式です。人物の描き方にルネッサンスの萌芽を感じさせる。
② 晩年(1330年頃以降)に円熟味を帯びて、(特に聖母の)人体をくねらせた独特の感情表現と空間(余白)を空けてユッタリとした雰囲気を醸し出している。
③ 多翼祭壇画の中央パネルは決まったように「聖母子」で、パネルは同じ画調・色調で描かれている。全体の調和を重視して描いたようです。
 アントワープ王立美術館所蔵の本作品4枚(2パネルの裏表だった)は
シモーネ・マルティーニの特徴が見られ、完成度も高いです。真作間違いなしです。サイズは24cmx15cmで絵柄からオリジナルサイズで、開いた状態では磔刑のキリストが見られ、閉じると受胎告知になるという三連祭壇画と思われます。中央パネルは縦24cm以上x横30cmの「聖母子像」と推定されます。インターネットで調べましたが、現存作品には無さそうです。破損したか、別の作者作品とされているのか?
 ルーヴル美術館所蔵の十字架を担うキリスト」はこれらと同じ多翼祭壇画を形成したとは考えられない。
④ サイズがアントワープ王立美術館より中途半端に大きい。中央パネルから切り出したと想定しても、画題が中央パネルに相応しくない。
⑤ 絵の具の発色や明るさが、マンテー二のそれと違う。一世代以上新しい絵の具だと思います。発色や絵柄(空間がなく密集した人物画)がアントワープ王立美術館とあまりにも違い、調和しない。
 画力が高い画家が描いたと思うが、シモーネ・マルティーニ真作とは思えない。
 「
キリストの埋葬」が同じ多翼祭壇画を形成していたとは考えられない中途半端なサイズで、画力も酷い。下にシモーネ・マルティーニの絵があるという主張もあるようですが、そうであるならば即座に上の絵の具を除去すべきです。現在の修復技術なら難しいことではない。X線写真で観察する手もある。シモーネ・マルティーニの上にこのように絵の具を重ねたら、修復者もその依頼者も犯罪に近いレベルです。ルーヴル美術館所蔵の十字架を担うキリスト」の左奥の赤いドレスで両手を挙げている女性と似せて女性を描いています。シモーネ・マルティーニはこんなことをしないと思います。
オルシ―ニ多翼祭壇画の一枚(シモーネ・マルティーニ、1333~40年作)

キリストの磔刑のパネル(シモーネ・マルティーニ、1333~40年作)

十字架降架のパネル(シモーネ・マルティーニ、1333~40年作)

受胎告知の大天使ガブリエルのパネル
キリストの磔刑の裏パネル
(シモーネ・マルティーニ、1333~40年作)

受胎告知の聖母のパネル
十字架降架の裏パネル
(シモーネ・マルティーニ、1333~40年作)

十字架を担うキリストのパネル
(シモーネ・マルティーニ、1333~40年作、ルーヴル美術館蔵)

キリストの埋葬のパネル
(伝シモーネ・マルティーニ作、ベルリン絵画館蔵)

聖女マルガリータと聖アンサヌスのいる受胎告知
(シモーネ・マルティーニ、1333年作、ウフィツィ美術館蔵)

アレクサンドリアの聖カタリナの多翼祭壇画
(シモーネ・マルティーニ、1320年作、サン・マッティオ国立美術館蔵)



 イギリス ケンブリッジにあるフイッツウィリアム美術館を紹介します。アンチーク/彫刻/工芸品/コイン/書籍/絵画を幅広く所蔵・展示していて、博物館に近いです。絵画はほとんどケンブリッジ大学からの貸し出しのようです。この美術館はケンブリッジにポツンとあり、1館の為にロンドンから丸一日か、1泊旅行が必要です。効率が悪く、訪問の機会がありませんでした。

フイッツウィリアム美術館前景(Wikipediaから)
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聖母子と四人の天使の即位(ルカ・ディ・トメ、14世紀後半作)

聖ゼノビウスの奇跡(ドメニコ・ヴェネツィアーノ、1445年頃作)

受胎告知(ドメニコ・ヴェネチアーノ、1445年作)
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聖母子の三連祭壇画・洗礼者聖ヨハネと聖アンサヌス
(フィリッポ・リッピ、1420年代作)
キリスト降誕(ドメニコ・ギルランダイオ工房、15世紀後半作)

風景の中のヴィーナスとキューピッド(パルマ・イル・ヴェッキオ、1523年頃作)

聖母子(ヨース・ファン・クレーヴ、1528年頃作)

自画像、コロッセオ、ローマ(マールテン・ファン・ヘムスケルク、1553年作)

ヴィーナスと天使とリュート奏者
(ティッツアーノ・ヴェチェッリオ、1555~65年作)
タルクィニウスとルクレティア
(ティッツアーノ・ヴェチェッリオ、1571年作)

エルメス、ヘルセ、アグラウロス(パオロ・ヴェロネーゼ、1573年頃作)

風景の中のマグダラのマリア(アンニーバレ・カラッチ、1599年作)

アビラの聖テレサの聖霊の透視
(ピーテル・パウル・ルーベンス、1614~35年作)

鏡を持つ少女(パウルス・モレールス、1627年作)

終油の秘跡(二コラ・プッサン、1638~40年作)
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男の肖像(フランス・ハルス、1660年代作)
ヒッポリュトスの死(ピーテル・パウル・ルーベンス、1611年作)
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アムステルダムに面したアムステルの眺め(ヤコブ・ファン・ライスダール作)
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古いパンケーキ売り(ヤン・スティーン作)
アイザック・ニュートン卿の墓碑銘(アレクサンダー・ポープ、1735年作)

Before(ウィリアム・ホガース、1631年作)
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After(ウイリアム・ホガース、1732年作)
After (1732) by William Hogarth in the Fitzwilliam Museum, Cambridge ...
ヘネージ・ロイドと彼の妹(トマス・ゲインズボロー、1750年頃作)
Heneage Lloyd and his sister 1750 トマス・ゲインズバラ ...
日の老いたるもの(ウィリアム・ブレイク、1821年作)

イングランドの最後の(フォード・マドックス・ブラウン、1860年作)

クルミ林
(ジャン・バテスト・カミーユ・コロー、1830~40年作)
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横たわるオダリスク(ウジェーヌ・ドラクロワ作)
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ポプラ(クロード・モネ作)
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エスタックとシャトー・ディフの風景(ポール・セザンヌ、1883~85年作)

秋の風景(フィンセント・ファン・ゴッホ、1885年作)
Autumn Landscape, 1885 - Vincent van Gogh - WikiArt.org
静物(ピエール・オーギュスト・ボナール作)
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ブルガリアのブラウス(アンリ・マティス、1920年作)
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中国陶器のある静物(ジェームス・アンソール作)
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座っている女性・一杯のコーヒー(エドゥアール・ヴィイヤール、1893年作)

アポロンの戦車(オディロン・ルドン、1907~10年作)
結構名品が所蔵・展示されています。ケンブリッジ大学卒業生が成功して寄付したのでしょうか?

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