世界美術館巡り旅

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2025年02月

 アルテマイスター(ドレスデン)の投稿三回目です。当館を訪れて感じた最大の驚きは、ルーカス・クラナッハの大作・名作が一杯展示されていたことです。ルーカス・クラナッハ作品の紹介文献にもあまり載っていない大作がありました。コレクションの他作品の確かさ、画家の技量の確かさ、絵の具の品質等々を考えて、贋作が展示されているとも思えませんでした。当時はまだ画家が絵の具を造ったり、その弟子が造ったりしていました。顔料や溶き油の品質も大事で、悪いとひび割れや剥離が早々に起きてしまいます。発色と頑丈さから、相当レベルの高品質絵の具と思われました。旧東ドイツ(社会主義圏)ということで、これらの存在の紹介が遅れたのでしょうか? 論より証拠で、クラナッハ作品の写真を紹介します。
アダムとエヴァ(ルーカス・クラナハ、1531年作)
アダムとエヴァ クラナハ
アダムとエヴァの前で記念撮影
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眠るヘラクレスと小人たち(ルーカス・クラナハ作)
眠るヘラクルスと小人たち クラナハ
ザクセン公ハインリヒ4世とカタリナ・フォンメクレンブルクの肖像
(ルーカス・クラナハ、1514年作)
公爵夫妻 クラナハ
公爵夫妻の前で
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聖カタリナ(ルーカス・クラナハ、1516年作)
聖カトリーナ クラナハ
聖バルボア(ルーカス・クラナハ、1516年作)
クラナハ作聖バルバラ 
聖カトリーヌの奇跡三連画(ルーカス・クラナハ、1506年作)
聖カトリーヌの奇跡の三連画 クラナハ
降誕(ルーカス・クラナハ、1515~20年作)
降誕 クラナハ
柱のキリストと聖人たち(ルーカス・クラナハ、1515年作)
柱のキリストと聖人たち クラナハ
子供たちを祝福するキリスト(ルーカス・クラナハ、1530年頃作)
子供たちを祝福するキリスト  クラナハ


 まだまだ沢山のクラナッハ作品がありました。

 2015年4月にカポディモンテ美術館(ナポリ)を訪問しました。今回は、ティツィアーノ・ヴェチェッリオ作「受胎告知」を紹介します。
 ティツィアーノ・ヴェチェッリオ(1488~1576年)はヴェネツィア派、或いはルネッサンスを代表する画家の一人です。ティツィアーノ・ヴェチェッリオはヴェネツィア共和国ベッルーノ近郊ピエーヴェ・ディ・カドーレで、ピエーヴェ・ディ・カドーレ城の管理者の長男に生まれました。父親は評議員で軍人と言う名士でした。10歳チョットの時に弟とヴェネツィア在住の叔父の元に行き、ジョヴァンニ・ベッリーニの下で修業しました。その後ジョルジョーネの助手となり、やがて共同制作者となりました。ジョルジョーネが1510年に、ベッリーニも1516年に死去すると、ティツィアーノ・ヴェチェッリオはヴェネツィア派を代表する画家となりました。晩年にはスペイン王フェリペ2世の下で主に暮らしました。
 ティツィアーノ・ヴェチェッリオは生涯で何枚も「受胎告知」を描きました。若い頃の作品はジョルジョーネの影響を強く受け、その後徐々にティツィアーノ独自の画風となりました。今回紹介する作品は晩年の作で、粗いタッチの朦朧体的な絵です。大天使ガヴリエルが告知し、聖母が恐れ多いと思いにふける姿で描かれています。上部には鳩と天使たちが描かれています。
受胎告知(ティツィアーノ・ヴェチェッリオ、1557年頃作)
受胎告知 ティッツァーノ作
受胎告知
(ティツィアーノ・ヴェチェッリオ、1519~20年作、トレヴィーゾ大聖堂蔵)

受胎告知
(ティツィアーノ・ヴェチェッリオ、1535年作、サン・ロッコ大同信徒会所蔵)

受胎告知
(ティツィアーノ・ヴェチェッリオ、1559~64年作、サン・サルバドール教会蔵)

 アルテマイスター(ドレスデン)の後期ルネッサンス・バロック以降の所蔵・展示作品を紹介します。
幼いバッカス(グイド・レーニ、1638年頃作)
幼いバッカス グイド・レーニ
茨の冠のキリスト(グイド・レーニ作)
グイド・レーニ茨の冠のキリスト 
ゴリアテの首を持つダヴィデ(グイド・レーニ、1606年頃作)
グイド・レーニゴリアテの首を持つダヴィデ 
ニンフとサトゥルヌスに導かれる酔っ払ったヘラクレス
(ピーテル・パウル・ルーベンス、1614年頃作)

二人の画家の息子(ピーテル・パウル・ルーベンス、1625年作)
画家の二人の息子 ルーベンス
赤いスカーフをつけた鎧姿の総司令官の肖像
(アンソニー・ヴァン・ダイク、1627年頃作)

祈るボナヴェントゥラ
(フランシスコ・デ・スルバラン、1629年頃作)

灰色のジャケットの男(フランス・ハルス、1635年作)
フランス・ハルス灰色のジャケットの男の肖像 
フローラの王国(二コラ・プッサン、1631年作)

パンとシュリンクス(二コラ・プッサン、1637年作)

ガニュデメスの略奪(レンブラント・ファン・レイン、1635年作)

黒いベレー帽と髭の男の肖像(レンブラント作)
黒いベレー帽と髭の男の肖像 レンブラント
居酒屋の放蕩息子(レンブラント・ファン・レイン、1635年頃作)
居酒屋の放蕩息子  レンブラント
正直者を探すディオゲネス(ヤーコブ・ヨルダーンス、1642年作)

聖ペテロの解放(ホセ・デ・リベーラ、1641年作)
聖ペトロの解放 ホセ・デ・リベーラ
ドン・ファン・マテ推す(ディエゴ・ヴェラスケス、1643年以前作)

アキスとガラテアの居る風景(クロード・ロラン、1657年作)

取り持ち女(ヨハネス・フェルメール、1656年作)
取り持ち女 フェルメール
窓辺で手紙を読む女(ヨハネス・フェルメール、1659年頃作)

アトリエの画家(アドリアン・ファン・オスターデ、1663年作)

愛の宴(アントワーヌ・ヴァトー、1719年頃作)

アウグスティヌス橋下流のエルベ川右岸から見たドレスデン
(カナレット、1748年作)


 名画を一杯所蔵・展示しています。

 2015年4月にカポディモンテ美術館(ナポリ)を訪問しました。今回は、ピーテル・ブリューゲル父作「人間嫌いのたとえ話」を紹介します。
 ピーテル・ブリューゲル(1530年頃~1569年作)は、「バベルの塔」や「農民の婚礼」などの作品でお馴染みの画家です。小学校の教科書にも載っていて、これらの絵(の写真)を見た事がないという日本人は少ないと思います。
 ピーテル・ブリューゲルはブレダ(現オランダ南部)に生まれたようですが、詳しい出生は不明です。ピーテル・クック・ファン・アールストに弟子入りし、その義兄画家からも影響を受けたようです。1551年までには、アントウエルペンの聖ルカ組合に加入したようです。
 1551年からイタリアを旅行滞在し、1555年にアントウェルペンに戻りました。1563年結婚を機にブリュッセルに移り住んだようです。亡くなる直前に、余りにも風刺的・直喩的作品を焼き捨てるように妻に依頼したようです。
 「人間嫌いのたとえ話」は「人間嫌いの老人」とも呼ばれるようです。黒いマントで白い髭の老人が歩いています。前方に鉄菱が撒かれ、進めなくなっています。後ろには宝珠(十字架付の球体)に入った若者が、老人の腰にぶら下がった巾着(財布)を盗もうとしています。下には「この世が不実だからこのような人は喪に服す。」と書かれています。背景には羊・羊飼い・風車小屋の農村風景が描かれています。
 画家が亡くなる前年の絵なので、この老人は画家自身の自画像のような気がします。ネーデルランドはカソリック教会からの寄付とスペイン国王フェルペ2世の税に苦しめられました。画家自身カソリックに対して批判的で、禁欲的な宗派にシンパシーを感じていたようです。老人の背後の盗人はカソリック教会と支配者の象徴と思われます。画家には家族(妻と幼子たち)が出来て、逃亡したり流浪できない境遇でした。カソリック教会や支配者を嫌っているが、放浪・隠遁も許されない年老いた画家自身の自画像で、自嘲している絵のように見えます。
 画家はフェルペ2世から派遣された監督官や枢機卿とも交流があり、死後この絵はスペイン経由で属国のナポリに流入したと思われます。 
人間嫌いのたとえ話(ピーテル・ブリューゲル、1568年作)
人間嫌い Pieter_Bruegel_

 2016年6月 アルテマイスター(ドレスデン)を訪問しました。ここには今回の旅の三大目的のひとつ ラファエロ作「システーナの聖母」があります。名画が沢山ありますので、ルネッサンス名画/ルネッサンス後期・バロック以降名画/クラナッハ名画の3回に分けて投稿しようと思います。先ずは良く知られた定番名画を紹介します。
アルテマイスター全景(Wikipediaから)
Dresden-Zwinger-Courtyard.11
アルテマイスター玄関で記念撮影
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展示の様子(Wikipediaから)
Wikipediaから展示の様子 
システーナの聖母(ラファエロ・サンティ、1513年作)
しすてーシステーナの聖母 ラファエロ
システーナの聖母の天使拡大
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 個人的な意見ですが、「この天使は構図の安定性を増すために、作画途中で描き加えられた。」と思っています。当初この天使なしで構想したが安定感を増すために、描き加えた。天使を描き加えるとこで、五角形の構図とした。その為天使は二人で、しっかりと肘をつくことが必要だった。
システーナの聖母の前で記念撮影
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眠れるヴィーナス(ジョルジョーネ、1510年作)
眠れるヴィーナス ジョルジョーネ
眠れるヴィーナスの横で記念撮影
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死せるキリスト(ジョット・ディ・ボンドーネ作)
死せるキリスト ジョット 
ドレスデンの三連画(ヤン・ファン・エイク、1437年作)
ドレスデンの三連画 ヤン・ファン・エイク
聖セバスティアヌス
(アントネロ・ダ・メッシーナ、1476年頃作)
少年の肖像(ピントウリッキオ、1500年頃作)
少年の肖像 ピントゥリッキオ
聖アンナ、洗礼者ヨハネと居る聖家族
(アンドレア・マンテーニャ、1495~1500年作)
聖家族 アンドレア・マンティーニャ
モレット卿、シャルル・ド・ソリエの肖像
(ハンス・ホルバイン、1535年頃作)
モレット卿、シャルル・ド・ソリエの肖像 ハンス・ホルバイン
貢の銭(ティッツアーノ・ヴェスプッチ、1516年作)
貢の銭 ティッツアーノ作
ドレスデンの祭壇画(アルブレヒト・デューラー作)
アルブレヒト・デューラードレスデンの祭壇画 
エジプトへの逃避行(アルブレヒト・デューラー作)
アルブレヒト・デューラーエジプトへの逃避行 
十字架のキリスト(ウエィデン作)
十字架のキリスト  ウェイデン
アントン・フォン・ブルゴーニュの肖像(ハンス・メムリンク作)
アントン・フォン・ブルゴーニュ  メムリンク
ザクセン公ハインリヒ4世とカタリナ・フォン・メクレンブルクの肖像
(ルーカス・クラナハ、1514年作)
聖クリスピヌス(ペルジーノ作)
聖クリスピぬス ペルジーノ
死せるキリストと聖母(ジョバンニ・ベッリーニ作)
ベッリーニ作死せるキリストと聖母 ジョバンニ・
聖ゼノビウスの生涯の場面(ボッティチェリ、1505年頃作)
聖ヨハネと聖母子(ボッティチェリ作)
ボッティチェリ作聖ヨハネと聖母子 
天使と聖母子(ボッティチェリ作)
天使と聖母子 ボッティチェリ作
聖ヨハネと聖母子(ロレンツォ・ディ・クレディ作)
Maria mit dem Kind und Johannes Lorenzo,di Credi
イサクの犠牲(アンドレア・デル・サルト、1529年頃作)

バラの聖母(パルミジャニーノ、1530年頃作)

羊飼いの礼拝(コレッジオ、1530年頃作)

洗礼者ヨハネの首を持つサロメ(バルトロメオ・ヴェネト作)
洗礼者ヨハネの首を持つサロメ バルトロメオ。ヴェネト
盲人の治癒(エル・グレコ、1567年作)

クッチーナ家の聖母(パオロ・ヴェロネーゼ、1571年作)

羊飼いの礼拝(ヴェロネーゼ作)
羊飼いの礼拝  ヴェロネーゼ
聖ヨハネと聖母子(ロレンツオ・ロット作)
聖ヨハネと聖母子 ロレンツォ・ロット作

 ルネッサンス名画だけでも相当な質と量です。西ヨーロッパの作品も多く、地形的に考えると大変な努力と資金で収集したと想像されます。次の投稿で、その他の名画を紹介します。

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