世界美術館巡り旅

世界の美術館・旅行・画家・絵画の情報共有サイト

2024年02月

 2016年6月にウンターリンデン美術館(コルマール)を訪問しました。今回は、ハンス・ホルバイン父作「女性の肖像」を紹介します。
 ハンス・ホルバイン父(1460~1524年)はアウグスブルクで画家の一家に生まれました。二人の息子も画家で、シグムンド・ホルバインと有名なハンス・ホルバイン子です。セント・ポール聖堂祭壇画に自身と二人の息子をチャッカリ描き込んでいます。やがてフランス アルザス地方イー全ハイムで活動して亡くなりました。国際ゴシックから北方ルネッサンス移行期に活躍した画家です。
 「女性の肖像」はハンス・ホルバイン子の作品としては、少しグロテスクでした。不思議に思って帰国したのですが、ハンス・ホルバイン父の作品だと分かりました。祭壇画を描くのが本職で、肖像画も描いたようです。当時としては、可成り写実的な画風です。「盛る(実物より美しく描く)」という事をしなかったようで可成り正確ですが、グロテスクな感じが出てしまっています。他の女性肖像画も紹介しましたが、どこかグロテスクです。正直に描いたのでしょう。
女性の肖像(ハンス・ホルバイン父、1515年作)
Hans Holbein the Elder, Portrait of a Woman

セント・ポール聖堂祭壇画全体(ハンス・ホルバイン父作)
セント・ポール聖堂祭壇画左翼に描き込んだ画家自身と二人の息子
(ハンス・ホルバイン父作)
undefined
女性の肖像(ハンス・ホルバイン父作)

 2016年6月にウンターリンデン美術館(コルマール)を訪問しました。今回は、ルーカス・クラナハ父作「メランコリア」を紹介します。
 ルーカス・クラナハ父(1472~1553年)はドイツのヴィッテンベルクに工房を構え、ザクセン選帝侯フリードリヒ3世の御用画家として多くの作品を残しました。
 アルブレヒト・デューラー作版画「メランコリアⅠ」に触発され、ルーカス・クラナハ父は1532年に4作品の「メランコリア」を描いたと伝わります。この作品とコペンハーゲン国立美術館所蔵品が現存しています。ウンターリンデン美術館所蔵品はルーカス・クラナハ父としては柔和な容貌で、発色も良い感じです。長男が一部描いたと推定されています。右端の女性が、メランコリーの偶像です。左上の雲の中に不安が描かれていると思われます。小さな子供たちが、無邪気に遊んでいます。
メランコリー(ルーカス・クラナッハ父、1532年作)
ルーカス・クラナハ作メランコリー 
メランコリア(ルーカス・クラナハ父、1532年作、コペンハーゲン国立美術館蔵)

メランコリアⅠ(アルブレヒト・デューラー、1514年作)

 2016年6月にウンターリンデン美術館(コルマール)を訪問しました。今回は、マルティン・ションガウアー作「受胎告知の祭壇画」を紹介します。
 マルティン・ションガウアー(1448年頃~91年)はコルマールで金細工職人の息子に生まれました。カスパー・イーゼンマンに弟子入りして、」その後ニュルンベルクのハンス・ぷライデンヴルフの工房に入りました。1465年からライプツィヒの大学で学び、その後ブルゴーニュやオランダを旅しました。1470年からコルマールに戻り、主に祭壇画を描きました。代表作は「バラの生け垣の聖母」と目されています。ヤン・ファン・エイクやウェイデンの影響を受けて、ゴシックより写実的・ルネッサンスの画風です。
受胎告知の祭壇画(マルティン・ションガウアー作)
Artiste Martin Schongauer
ドミニカンの祭壇画(マルティン・ションガウアー とその工房作)
Altarpiece of the Dominicans  Martin Schongauer
バラの生け垣の聖母
(マルティン・ションガウアー、1473年作、コルマールの聖ドミニコ教会蔵)

 2016年6月にウンターリンデン美術館(コルマール)を訪問しました。今回は、カスパー・イーゼンマン作「エルサレムへの入城と最後の晩餐」を紹介します。
 カスパー・イーゼンマン(1410年頃~72年頃)はコルマールで生まれ、オーバーライン絵画学校で学びました。コルマールの聖マルティン教会の祭壇画などを手がけました。マルティン・ションガウアーの師匠だったと考えられています。15世紀アルザス地方のゴシック絵画の巨匠でした。
 「エルサレムへの入城と最後の晩餐」の彩色などはゴシックですが、完全に平面的・図式的ではありません。地域的・時期的にヤン・ファン・エイクやウェイデンの影響を多少受けていたのでしょうか?これらの画家と較べると、ゴシックの様式が色濃く残っています。人物の描き方や空間の描き方(一部遠近法採用)が、ゴシックよりルネッサンスに寄っています。
エルサレムへの入城と最後の晩餐(カスパー・イーゼンマン作)

キリストの復活(カスパー・イーゼンマン作)
Gaspard Isenmann

 2015年4月にロンドン・ナショナルギャラリーを訪問しました。今回は、チマブーエ作「聖母子と二人の天使」を紹介します。
 チマブーエ(1240年頃~1302年頃)はフィレンツェで生まれた、ゴシック画家です。ジョットの師匠に当たります。チマブーエの本名はチェンニ・ディ・ぺーポで、チマブーエは「雄牛の頭」と言う意味のあだ名です。ゴシックのヴィザンティン様式を引き継ぎながら、人物表現・空間表現でルネッサンスの萌芽を感じさせます。金地背景、左右対称、平面的なところがヴィザンティン様式で、人物表情・空間表現などがそれを逸脱しています。
 「聖母子と二人の天使」は「キリストの鞭打ち」と画材が同じで、多翼祭壇画の一枚と考えられます。「キリストの鞭打ち」の金地はまだ金色が残っていますが、「聖母子と二人の天使」のそれは可成りくすんでいます。かなり昔に解体され、保管環境が可成り悪かったようです。これ等のパネルは、フランスやイギリスにバラバラとなっていたようです。「聖母子と二人の天使」では椅子が斜めに描かれ、人物も斜めに描かれています。人物の容姿も平面的・図式的ではありません。
聖母子と二人の天使(チマブーエ、1280年頃作
サンタ・トリニタの聖母(チマブーエ、1283~91年作、ウフィツィ美術館蔵)

キリストの鞭打ち(チマブーエ、1280年頃作、フリック美術館蔵

↑このページのトップヘ